消費者物価指数の推移

1997年以降、日本経済は長いデフレに陥っている。一般物価が重要なのは、それがマクロ経済と密接に結び付いているということだ。例えば、物価上昇率と失業率は反比例の関係にある。デフレの時には失業率が高まり、インフレの時には失業率が低くなる。また、デフレが起こると、景気が悪化する。その一番大きい要因は、実質金利や実質人件費が高止まりすることだ。いくら物価が下がっても、借金は値上がりしない。だから借金のある人の実質的な負担は大きくなる。また、賃金には下方硬直性があり、すぐには賃下げに踏み切れないから、企業の負担する実質的な人件費コストが高まってしまう。デフレ下で企業倒産が続出するのはこれらが原因である。

もちろん行き過ぎたインフレも経済を疲弊させる。インフレは貨幣の保有コストを高めて、資源配分を歪めてしまうからである。だから経済で最も望ましいのは、インフレでもデフレでもない状態だ。そのため中央銀行はどの国でも物価安定を最大の政策目標として掲げている。

物価は基本的には需要で決まる。高度成長期は、旺盛な消費需要に、供給がおいつかなかったため、継続した物価上昇が起こった。そして、高度成長期の最後を飾ったのが狂乱物価と呼ばれた1973~75年の物価上昇だった。特に74年の消費者物価上昇率は23%にも達している。もちろん、その原因は需要の逼迫が続いたうえに、オイルショックの発生で石油価格が急上圧したことだった。

インフレには需要超過によるデマンドプル・インフレとコストが高くなることによるコストプッシュ・インフレがあると言われるが、オイルショックのときには両方が重なって、狂乱物価を招いたのだと考えられる。オイルショックの後、我が国は、低い率のインフレとほどほどの経済成長が両立する安定成長期を迎える。ところが、それもつかの間、1990年代後半から日本経済は物価が下落するデフレに陥ってしまった。

物価指数 上 昇 率
明治33年(1900) 1.00 0.0%
明治40年(1907) 1.28 10.5%
大正5年(1916) 1.29 8.0%
昭和元年(1926) 2.59 -4.5%
昭和10年(1935) 2.06 2.5%
昭和21年(1946) 99.5  
昭和22年(1947) 224.1 125.3%
昭和23年(1948) 394.3 75.9%
昭和24年(1949) 495.3 25.6%
昭和25年(1950) 475.5 -4.0%
昭和26年(1951) 547.0 15.0%
昭和27年(1952) 573.1 4.8%
昭和28年(1953) 613.5 7.0%
昭和29年(1954) 649.7 5.9%
昭和30年(1955) 650.3 0.1%
昭和31年(1956) 655.1 0.7%
昭和32年(1957) 673.6 2.8%
昭和33年(1958) 677.1 0.5%
昭和34年(1959) 686.5 1.4%
昭和35年(1960) 707.5 3.1%
昭和36年(1961) 742.8 5.0%
昭和37年(1962) 791.6 6.6%
昭和38年(1963) 849.5 7.3%
昭和39年(1964) 884.9 4.2%
昭和40年(1965) 953.9 7.8%
昭和41年(1966) 1003.9 5.2%
昭和42年(1967) 1042.4 3.8%
昭和43年(1968) 1100.0 5.5%
昭和44年(1969) 1157.7 5.2%
物価指数 上 昇 率
昭和45年(1970) 1246.2 7.6%
昭和46年(1971) 1328.5 6.6%
昭和47年(1972) 1391.2 4.7%
昭和48年(1973) 1551.9 11.5%
昭和49年(1974) 1912.4 23.2%
昭和50年(1975) 2135.8 11.7%
昭和51年(1976) 2339.6 9.5%
昭和52年(1977) 2527.7 8.0%
昭和53年(1978) 2637.4 4.3%
昭和54年(1979) 2735.4 3.7%
昭和55年(1980) 2947.0 7.7%
昭和56年(1981) 3088.1 4.8%
昭和57年(1982) 3178.2 2.9%
昭和58年(1983) 3233.1 1.7%
昭和59年(1984) 3307.6 2.3%
昭和60年(1985) 3374.2 2.0%
昭和61年(1986) 3397.7 0.7%
昭和62年(1987) 3397.7 0.0%
昭和63年(1988) 3421.2 0.7%
平成5年(1993) 3840.5 1.3%
平成10年(1998) 3958.1 0.6%
平成15年(2003) 3844.4 -0.3%
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