レコード・CDの価格推移
日本で最初のレコード会社である日本蓄音器商会(現・日本コロムビア)が発足したのは明治43年(1910)であった。当初は「シンホニー」「ローヤル」「アメリカン」「ユニバーサル」「グローブ」などのレーベルによる片面盤(SPレコード)を、1円~2円の価格で販売していた。大正3年(1914)から片面盤レコードに代わり、両面盤レコードが一般化し始める。日本蓄音器商会のレコードは「ニッポノホン」というレーベル名に統一され、価格は75銭に引き下げられた。同年は女優・松井須磨子の「カチューシャの唄」が全国に流行しており、これがわが国の流行歌第1号となった。以後、SPレコードの時代が続くが、SPレコードは回転数が78回転で溝も太かったため、片面に約5分しか収録できなかった。また、材料の粒子が粗いため雑音が多く、さらに、レコードそのものが撤り切れ易く、衝撃にも弱いといった欠点があった。
こうしたなか昭和26年(1951)に、わが国初のLPレコードが日本コロムビア株式会社より発売された。この第1号LPのコンテンツは「ブルノー・ワルター指揮=ベートーベン交響曲第9番」で、価格は2300円であった。昭和57年(1982)には、世界に先駆けてCDソフトとCDプレーヤーが日本において発売された。CD音楽ソフト第1号は「スイトナー指揮=ベートーベン第5番」である。LPレコード第1号に引き続いて楽聖ベートーベンの登場である。ちなみに、この時のCDの価格は3800円であり、同年のLPレコードの価格(2800円)の約1.4倍だった。音楽ソフトはもはや高額商品ではなく、誰にでも気軽に愉しむことができる商品であったといえよう。
レコード盤・CD(歌謡曲) | |
明治43年(1910) | SP・1円50銭(大正9年まで1円50銭) |
昭和5年(1930) | SP・1円30銭(15年2円14銭、22年まで各社共通価格) |
昭和20年(1945) | SP・2円75錆(同10月、並木路子「リンゴの唄」発表) |
昭和25年(1950) | SP・170円 LP登場・2300円 |
昭和28年(1953) | SP・250円(29年にEP登場・300円) |
昭和31年(1956) | EP・300円 LP・1800円(33年に同2300円) |
昭和36年(1961) | LP・2000円 |
昭和37年(1962) | EP・290円(40年、同330円、43年に370円) |
昭和45年(1970) | EP・400円(47年、同500円) |
昭和49年(1974) | LP・2300円 |
昭和51年(1976) | EP・600円(ステレオ)、(52年にLPは2500円) |
昭和55年(1980) | EP・700円 LP・2800円 |
昭和57年(1982) | CD登場(アルバム)3800円 |
平成元年(1989) | EP・658円 LP・2637円(約30分) CD・3008円 |
平成12年(2000) | (平成2年頃からEP、LPは店頭から姿を消し始める) CD・2991円 |
平成16年(2004) | CD・3059円・05年11月もCD・3059円 |