牛乳と粉ミルクの価格推移

飛鳥・奈良時代、インドから中国、朝鮮経由で乳牛が輸入され、牛乳はもっぱら養生薬として扱われていた。時代が下って江戸時代には、八代将軍徳川吉宗が馬の調教師のオランダ人から勧められインドから「白牛」を輸入し、牧場を作り牛乳を普及させようとする。が、一般には好まれなかった。

明治に入り北海道開拓がはじめられ、洋式農法のひとつとして酪農が取り入れられた。この時期、牛肉すらようやく食用にしはじめたばかりであり、一般の人は浸透しなかった。業者は普及拡大のため「万病の薬」と宣伝し、明治5年（1872）には政府も牛乳の普及に立ち上がっている。牛乳は特に母乳の補助用や病人向けの滋養用として徐々に利用が広まった。東京で牛乳が各家庭に配達されるようになったのは明治14年（1881）からである。この時は配達付きで1合（180ml）が3銭。明治31年（1989）頃には、地方各地に牛乳の配達が普及した。大正元年（1912）には牛乳の生産量は年間33万klに達した。

戦後の昭和25年（1950）には牛乳の販売が再開された。食生活の洋風化とともに牛乳・乳製品の消費が伸び、同内生産、輸入量ともに激増する。昭利29年当時、牛乳は東京で1合13～14円していた。昭和40年、旧厚生省は低所得層の妊産婦と乳幼児に一日一本の牛乳を無償で支給したこともあった。東京都の学校給食に牛乳が加えられたのは昭和33年（1958）である。