発掘史

1946

・静岡県登呂遺跡の発掘開始。弥生時代の農耕集落の全貌を明らかにした戦後初の学術調査(7月)。

・群馬県岩宿で在野研究家の相沢忠洋が赤土の露頭に石器を発見。1949年調査で縄文時代に先行する文化を確認。

1947

・北海道モヨロ長塚の本調査開始。オホーツク文化研究の端緒を開く(9月)。

1949

・奈良県桜井茶臼山古墳の調査で埴輪の起源をうかがわせる底部穿孔壷形土器の配列を確認(10月)。

1950

・神奈川県夏島貝塚の調査開始。後に放射性炭素年代測定で世界最古の土器文化の存在が論争化する(3月)。

・長野県平出遺跡調査開始。古代畑作経営を実証(4月)。

・大阪府和泉黄金塚古墳で「景初三年」銘鏡を発見(10月)。

1951

・岡山県佐良山古墳群の調査。翌年その成果から古墳時代後期の家父長的家族の成立と階級的変遷を追求(1月)。

1953

・京都府椿井大塚山古墳の調査に際し、流出した三角縁神獣鏡を含む33面の銅鏡を回収(5月)。

・岡山県月ノ輪古墳の発掘。地元民の協力による啓蒙的な調査体制が話題になる(8月)。

1954

・福岡県沖ノ島祭祀遺跡の発掘調査開始(5月)。

1955

・横浜市南堀貝塚調査で縄文集落の全貌を解明(7月)。

・香川県紫雲出山遺跡調査開始。後に弥生時代における倭国大乱の仮説を提示させる発掘となる(12月)。

1956

・福岡県竹原古墳で動物と人物の壁画を確認(3月)。

1960

・奈良県天神山古墳の調査で23面の漢式鏡が出土(2月)。

・長崎県福井洞穴の発掘で、土器を伴った細石器が出土、土器の起源問題に関わる貴重な発見になる(7月)。

1961

・奈良市平城宮跡より木簡が打出土(1月)。

・河底に埋もれた中世の町・広島県草戸千軒町遺跡の発掘調査を開始(7月)。

・古代東北の城柵宮城県多賀城跡の発掘開始(8月)。

1962

・長野県野尻湖底調査開始。ナウマンゾウとオオツノジカの共存を確認。大衆参加により成果を上げる(3月)。

1963

・福岡県立岩遺跡の甕棺より10面の前漢鏡を発見(6月)。

・奈良県新沢126号墳で大陸系の副葬品を発見(8月)。

1964

・東京都宇津木向原遺跡で方形周溝墓を初確認(7月)。

・千葉県加曾利貝塚の調査で保存運動が活発化(9月)。

・神戸市桜ケ丘遺跡で銅鐸14口と飼戈7本が出土(12月)。

1965

・茨城県馬渡埴輪製作跡の調査開始(8月)。

1966

・埼玉県砂川遺跡の発掘で、岩宿時代の集落・集団構成を究明する手がかりが明らかに(10月)。

・奈良県藤原宮跡より木簡が多数出土(12月)。

1967

・福井県一乗谷朝倉氏居舘跡の調査開始(4月)。

1968

・神奈川県月見野遺跡群と東京都野川遺跡の調査で、岩宿時代研究を画する成果をもたらす(8月・1969年5月)。

・福岡県太幸府跡の発据調査開始(11月)。

1970

・島根県仲仙寺古墳群で四隅突出型墳丘墓を確認(7月)。

1972

・奈良県高松塚古墳で人物群・四神の極彩色壁画を発見。考古学ブームの黎明となる(3月)。

・横浜市吾妻遺跡群の発掘開始。環濠集落、方形周溝墓群を完堀し、弥生時代の集落・社会構造を究明(4月)。

1973

・長崎県泉禅寺洞穴で最古の豆粒文土器を発見(7月)。

・茨城県虎塚古墳の石室に赤色の彩色壁画を確認(9月)。

1974

・大阪府大圏遺跡で古墳時代の掘立柱建物跡を初検出、西日本の古墳時代集落研究の端緒に(12月)。

1975

・福井県鳥浜貝塚からヒョウタンと種子が出土。後にも遺存状態の良い有機遺物が続々出土する(9月)。

1976

・岡山県楯築墳丘墓の発掘開始。後に被葬者の強い権力像が明らかになり、前方後円墳の成立に問題提起(6月)。

・岡山市百間川遺跡群の発掘開始。弥生時代の水田経営の実態を明らかにし、稲株痕を検出(11月)。

1977

・奈良県マルコ山古墳で漆喰壁と爽紵棺を確認(3月)。

・北海道柏木B遺跡で環状土籬と呼ばれる縄文時代の大規模集団墓地を発見(7月)。

1978

・大阪府三ツ塚古墳の周濠から巨石運搬に使用したとみられる木製のそり「修羅」を発見(4月)。

・福岡市板付遺跡で縄文時代晩期の水田跡と縄文人の足跡を発見。稲作の縄文時代開始を証明(5月)。

・埼玉県埼玉(さきたま)古墳群の稲荷山古墳の鉄剣に115字の銘文を確認(9月)。

・長野県阿久遺跡で縄文時代前期の大環状集石群と集落跡を楓縄文時代の少人数集落の常識を破る(11月)。

1979

・奈良市郊外の茶畑で『古事記』の編纂者太安萬侶の銅製墓誌と遺骨発見(1月)。

1980

・佐賀県安永田遺跡で九州初の銅鐸鋳型を発見(4月)。

・石川県チカモリ遺跡でクリの木の柱を並べた経文時代後期~晩期の環状木列を確認(8月)。

1981

・佐賀県菜畑遺跡で縄文時代晩期の水稲耕作を示す最古の遺構と遺物を発見(8月)。

・宮城県座散乱木遺跡で日本には存在しないとされていた岩宿時代前期の文化を確認(9月)。

・青森県垂柳遺跡で弥生時代の水田跡を発見,稲作が東北北部にまで伝播していたことを証明(10月)。

・山梨県釈迦堂遺跡で棍文時代中期の集落跡から420点もの土偶が出土(10月)。

・奈良県水落遺跡で中大兄皇子が作った水時計「漏刻」を置いたとみられる遺構が出土(12月)。

1982

・石川県真脇遺跡で縄文人が捕獲した大量のイルカの骨と巨大なトーテムポール状の木柱根を発見(2月)。

・奈良県山田寺跡で回廊の一部が倒壊状態で出土(11月)。

1983

・茨城県武者塚1号墳で石室内に角髪(みずら)とまげが残ったままの人骨を確認(11月)。

1984

・奈良県束明神古墳で方形切石横の家形石室を発見出土した歯の推定年齢等から草壁皇子の墓と推定(5月)。

・奈良県脇本遺跡で雄略天皇の朝倉宮と推定される最古の宮殿遺構が出土(6月)。

・島根県荒神谷遺跡より全国総出土数を上回る358本もの銅剣が一括出土。青銅器の文化圏に関して再考を迫られることになった(7月)。

・宮城県馬場壇A遺跡で火山灰層から約13万年前の岩宿時代前期の石器を検出(9月)。

1985

・福岡市飯盛吉武高木遺跡で弥生時代中期初頭の木棺墓から権力のシンボルである鏡・銅剣・勾玉が出土(3月)。

・奈良県藤ノ木古墳の横穴式石室より未盗掘の朱塗家形石棺と豪華な装飾馬具を発見(9月)。

・奈良県伝飛鳥板蓋宮跡から日本書紀の言古基を裏付ける木簡が出土。遺跡は飛鳥浄御原宮跡説が有力に(10月)。

1986

・群馬県黒井峯西組遺跡で榛名山の噴火により埋没した古墳時代後期の平地住居と畑を発見(2月)。

・京都府広峯15号墳で、存在しない元号「景初四年」銘鏡が出土。日本製の可緒性が強くなる(10月)。

1987

・愛知県朝日遺跡で三重に柵と杭をめぐらせた弥生時代集落跡を発見。東海地方の倭国大乱を示唆させる(3月)。

・奈良県上之宮遺跡で青年時代の聖徳太子が住んだ上官と推定される遺構を発見(6月)。

・奈良県鳥庄遺跡で嶋邸(後の嶋宮)の庭園を確認(9月)。

・福岡市で太宰府の鴻臚館跡を発見(12月)。

1988

・千葉県稲荷台1号墳の鉄剣に「王賜」銘を確認(1月)。

・奈良市内出土の木簡から長屋王の邸宅を確認(1月)。

・奈良県四条古墳・小基古墳の周濠から葬送儀礼をうかがわせる木製品が大量に出土(2月)。

・仙台市宮沢遺跡で2万3千年前の岩宿時代後期の地層から当時の生活環境がうかがえる遺物が出土(3月)。

・奈良市東大寺大仏殿西回廊から奈良時代の大仏造営当時の木簡や溶胴塊などが出土(3月)。

・奈良県藤ノ不古墳石棺より豪華な副葬品が出土(10月)。

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